近年、仮想通貨の分野で注目されているのがDeFi（分散型金融）です。
DeFiとは、ブロックチェーン技術を利用して、中央機関や仲介者なしに金融サービスを提供することを目指すムーブメントです。
DeFiでは、レンディング（貸借）、取引所、保険、資産管理などの様々なサービスが展開されています。
DeFiの中でも特に人気が高いのがレンディングサービスです。
レンディングサービスでは、ユーザーは自分の持っている仮想通貨をプラットフォームに預けて金利を得たり、他の仮想通貨を借りたりすることができます。
レンディングサービスは、ユーザーに収益機会や流動性を提供するだけでなく、プラットフォームのガバナンスやセキュリティにも貢献します。
今回は、iFOREXで取引可能なDeFiレンディングプラットフォームAave（アーベ）とそのネイティブトークンAAVE（アーベ）について紹介します。
Aaveは、フラッシュローンや信用委任といったユニークな機能を提供しており、DeFiレンディング分野で高いシェアを誇っています。
また、AAVEはガバナンストークンとしてAaveプロトコルの運営やセキュリティに関わることができます。
Aave（アーベ）とは？
Aaveとは、イーサリアムブロックチェーン上に構築された分散型ノンカストディの金融プラットフォームです。
「Aave」はフィンランド語で「お化け」を意味し、DeFi分野で透明かつオープンなインフラを創造するというAaveの取り組みを象徴しています。
Aaveは2017年にStani Kulechov氏によって設立されました。
当初はETHLendという名前であり、2018年にAaveへ改名しました。
現在ETHLendの運営は停止されており、Aaveプロトコルへ移行しています。
現在Aaveでは20種以上のトークンの貸借が可能です。
貸手は資産をスマートコントラクトに預けて流動性プール（Liquidity Pool）を形成し金利収入を得ることができます。
また預けた資産は担保として他のトークンを借りることも可能です。
一方借り手は無期限過剰担保ローンを利用することができます。
借り手は固定金利または変動金利のどちらかを選択できることもAaveの特徴のひとつです。
Aaveは2020年12月にV2をローンチしました。
V2では既存の機能が大幅にアップグレードされ、DeFi分野の中でも先進的なサービスが提供されています。
V2ローンチにより、前述のフラッシュローンにバッチ機能が導入され、複数の資産を一つのトランザクションで処理できるようになりました。
さらにフラッシュローン機能を利用して、フラッシュローンでプロトコルから借り入れた資産で清算プロセスを実行できるようにもなりました。
またV2では債務ポジションがトークン化され、借り手が受け取れるようになりました。
これにより信用委任サービスがプロトコルのネイティブ機能として提供され、コールドウォレットからも債務ポジションの管理が可能になります。
他にも債務返済簡素化のために提供されている担保を利用した返済機能や担保としてロックした資産のトレードを可能にする機能など、様々なネイティブ機能がプロトコルに組み込まれました。
AAVE（アーベ）とは？
AAVEとはAaveプロトコルのERC-20規格のネイティブトークンです。
AAVEはAaveプロトコルの分散型ガバナンスにおいてガバナンストークンとして利用されています。
現在前身トークンであるLENDから新トークンAAVEへ移行中です。
LENDはAaveの前身であるETHLendのユーティリティトークンとして発行されました。
ETHLendは2017年にLENDでICOを行い、約18億円を調達しました。
AAVEはAaveプロトコルの分散化フレームワークであるAavenomicsにおける第一段階として、Aaveの分散型ガバナンスでコミュニティによって決定されました。
この移行では100LENDが1AAVEと等しくなるように設計されています。
AAVEの総供給量は1,600万で、そのうち1,300万がLENDからの移行であり、残りの300万はAaveエコシステムのリザーブに割り当てられる予定です。
AAVE保有者はAaveプロトコルのガバナンスに参加することが可能です。
AAVEがコールドウォレットで保有されている場合、またはセーフティモジュールにステークされている場合でも、投票は可能です。
また自身の投票権を他人に委任することもできます。
Aavenomics（アーベノミクス）
Aavenomicsとは、プロトコルの分散化フレームワークを指します。
AavenomicsではAAVEがガバナンストークンとして様々な役割を果たしています。
Aavenomicsで重要なシステムの一つにセーフティモジュール（SM; Safety Module）およびセーフティインセンティブ（SI; Safety Incentive）があります。
このシステムではAAVE保有者はセーフティモジュール（SM; Safety Module）と呼ばれる資金不足時の保険のようなメカニズムにAAVEをステークすることができます。
これによりAAVEをステークしたユーザーはプロトコルのセキュリティを保証する責任を負いますが、プロトコルの健全性を高める報酬としてセーフティインセンティブ（SI; Safety Incentive）および手数料収入の一部を受け取ることができます。
AAVE保有者は、プロトコルを管理するためのガバナンスに参加し、AIP（Aave Improvement Proposal/Aave改善提案）に投票することも可能です。
AAVEがコールドウォレットで保有されている場合、またはSMにステークされている場合でも、投票は可能です。
また、AAVE保有者は、自身の投票権を他人に委任することもできます。
Aavenomicsで発行される1,600万AAVEのうち300万は、Aave Reserveと呼ばれるコントラクトに割り当てられます。
Aave ReserveにあるAAVEは、エコシステム発展促進のインセンティブ（EI; Ecosystem Insentive）として機能し、流動性提供者や開発者などのエコシステムの貢献者へ報酬として与えられます。
関連サービス
信用委任（CD; Credit Delegation）
Aaveは、DeFi分野で初めて信用委任システムを導入しました。
このシステムでは、Aaveに資産を預けているユーザーは、自身の与信枠を他人に委任することができます。
これにより、無担保ローンやフラッシュローン以外の方法で資金調達が可能になります。
信用委任では以下のような流れで行われます。
- 資産を預けたユーザー（貸手）が借り手を選択し、与信枠や金利などの条件を決める
- 貸手と借り手が法的拘束力のある契約書（OpenLawなど）に署名する
- 貸手が自身の債務ポジショントークン（aTokens）を借り手に委任する
- 借り手がaTokensを担保としてプロトコルから資金調達する
- 借り手が返済期限までに資金および金利分を返済する
信用委任では貸手側も借り手側もメリットがあります。
貸手側は自分の資産からより高い収益率を得られる可能性があります。
借り手側は無担保ローンやフラッシュローンでは実現できない規模や期間の資金調達が可能です。
フラッシュローン（FL; Flash Loan）
フラッシュローンとは、DeFiレンディングプラットフォームの一つであるAaveによって開拓された、スマートコントラクトによって実行される新しいタイプの無担保ローンです。
従来のDeFiレンディングでは、借り入れに担保が必要となります。
そして借りる側は、担保が必要となります。
そして借りる側は金利を支払わなければなりません。
しかしフラッシュローンでは、担保も金利も不要です。
フラッシュローンでは以下のような流れで行われます。
- ユーザーがプロトコルから任意の額の資産を借りる
- ユーザーが借りた資産を使って任意の操作（例：アービトラージ）を行う
- ユーザーが同じブロック内に借りた資産と手数料分を返済する
フラッシュローンの特徴は、一つのブロック内で全ての処理が完了しなければならないという点です。
もし返済できなかった場合、トランザクションは取り消されます。
つまり、フラッシュローンはリスクフリーであり、失敗しても損失は発生しません。
フラッシュローンには様々なユースケースがあります。
代表的なものに以下のようなものがあります。
コラテラルスワッピング
DeFiユーザーはコラテラル交換を利用して、複数コラテラル対応のレンディングアプリケーションからローンを得ることができます。
例えばETHでDAIを借りている場合、フラッシュローンでBATに交換してDAIを返済することができます。
アービトラージトレーディング
DeFiユーザーは価格差や流動性不足によって生じる機会を利用して利益を得ることができます。
例えばUniswapとSushiswap間に価格差がある場合、安い方から資産を買って高い方で売ることができます。
取引手数料節約
DeFiユーザーは複数の取引所やプール間で資産移動する際に発生する手数料やガス代を節約することができます。
例えばUniswapからCompoundへ資産移動する場合、直接移動するよりもフラッシュローン経由で移動した方が安く済みます。
債務リファイナンス
DeFiユーザーは自身の債務ポジションや担保率を最適化することができます。
例えば清算されそうになった場合、自分自身へフラッシュローンし清算手数料分だけ追加すれば清算回避可能です。
Aave（アーベ）およびAAVE（アーベ）トークンの将来性
Aave（アーベ）およびAAVE（アーベ）トークンはDeFiレンディング分野では有力な存在です。
Aaveプロトコルでは革新的かつ多様なサービスや機能が提供されており、多くのユーザーや開発者から支持されています。
Aave（アーベ）およびAAVE（アーベ）トークンは今後もDeFiの発展に貢献していくと考えられます。
Aaveの将来的な計画としては以下のようなものがあります。
Aave V3のローンチ
Aave V3では、ポータル機能やレイヤー2ソリューションなど、さらなる革新的な機能が導入される予定です。
Aave Arcの拡大
Aave Arcは、機関投資家やプライベートファンド向けにパーミッション型DeFiマーケットを提供するサービスです。
現在はFireblocksというプラットフォームを通じて利用できますが、今後は他のプラットフォームや法域にも拡大する予定です。
Aave Proのローンチ
Aave Proは、KYC/AML認証を行ったユーザーだけが利用できるDeFiマーケットです。
現在はBTC, ETH, USDC, AAVEの4つの資産が利用できますが、今後は他の資産も追加される予定です。
まとめ
AAVE（アーベ）トークンは、分散型レンディングプロトコルAave（アーベ）のネイティブトークンであり、ガバナンストークンとして利用されています。
AAVE保有者は、プロトコルの変更や開発に投票したり、セキュリティを保証するためにステークしたりすることができます。
Aave（アーベ）プロトコルでは、20種以上のトークンを担保または無担保で借りたり貸したりすることができます。
特にフラッシュローンや信用委任といったユニークなサービスが注目されており、DeFiレンディング分野では有力な存在です。
Aave（アーベ）およびAAVE（アーベ）トークンは今後もDeFiエコシステムに貢献していくと考えられます。
V3やArcやProなど新しいサービスや機能を提供し続けることで、DeFi分野に革新をもたらす可能性があります。
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